風景の中で暮らす家
かけがえのない暮らしを象徴している。
草原に浮かぶリビング
有効視野角を超えるワイドな開口とせり出したデッキによって、フロア全体が草原に浮かんでいるかのような効果を生み出したリビング。
順光を受けて鮮やぐ風景と一体の空間に宿るのは、長く連続する窓が無意識の内に視線を水平方向に誘う日本古来の建築様式。
ふと目を落とすと、磨き上げられたタイルの床面に、刻々と表情を変える空が映し出されている。
一期一会の風景
春の桜から、新緑、紅葉、冬枯れへと、四季折々に変化していく窓先の景色。一つとして同じ形のない雲や移ろい続ける空の色。天候や気温で選べる多彩な居場所は、かけがえのない一瞬一瞬を、一年を通じて愉しみ尽くすためにある。
フレーミングの妙
浮遊感が心地よい2階コーナー部のバルコニーには、手すりや庇のさりげないフレーミングによって風景を際立たせる演出を。さらに書斎には、額縁をイメージした窓を設け、静かに籠る空間に、ふとした自然の癒しと晴れやかな活力を結んでいる。
合わせの美意識
緩やかなカーブに沿って広がる敷地の秩序に合わせ、室内にもR形状のデザインをそっと忍ばせた住まい。
日本古来の“合わせの美”に通じるささやかな遊び心が、日常に触れる空間に豊かな物語性と必然性を添えている。
北と南の対比
建物を斜めに振ることで道路からの視線が届かない場所に玄関を配置すると共に、長く回り込んだアプローチをデザイン。
限られた空間の中に演出された秘匿感のある風情が、オープンな北側との美しい対比を生み出している。
DATA
●家族構成 | / | ご夫婦、子供1人、室内犬2頭、室内兎1頭 |
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●敷地面積 | / | 187.32㎡ |
●床面積 | / | 1階:75.12㎡ |
2階:63.93㎡ | ||
延床:139.05㎡ |
DESIGNER
ハイムデザインオフィス デザイナー
加崎 悟志
一級建築士
最初にこの『敷地』に出逢った感動は忘れない。その心の動きを素直にかつ丁寧に創り上げた空間。北側に広がる風景は人間の有効視野をはるかにこえる角度で、室内からこの風景を全て切り取り一体化させ、日々変化する空の色や雲の形、草花の変化を敏感に感じられる。